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公式サイトトップページのスクリーンショット |
12月1日から12月3日の3日間、フランス・パリで「韓国ブランド&エンターテイメントエキスポ(Korea Brand & Entertainment Expo: KBEE2011)」が開催されました。このKBEEは去年はタイの首都バンコクで行われたものです。
今回はこのイベントを同じくパリで開かれている日本のポップカルチャーの祭典である「Japan Expo」と比べていこうと思います。
まず簡単にJapan Expoの説明をします。Japan Expoは13年前からパリで始まったイベントで、現在ではヨーロッパのマンガ・アニメファンの交流の場になっています。2011年の今年は4日間の開催で19万2000人の来場者を数えました。もともとはフランス人アニメファンによってイベントが始まり、現在ではフランスの民間企業「SEFAイベント」によって運営され、日本産に限らないゲームコンベンションである「ヨーロッパコミコン」が同日開催されるのが通例となっています。Japan Expoは、パリ会場のほかにベルギー(Japan Expo Belgique)、マルセイユ(Japan Expo Sud)、オルレアン(Japan Expo Centre)でも開催されています。
KBEEの主催は、
- 韓国知識経済部(Ministry of Knowledge Economy: MKE)
- 韓国文化体育観光部(Ministry of Culture, Sports and Tourism)
協賛には、
- 韓国企画財政部(MOSF)
- 韓国国家ブランド委員会
- 在仏韓国大使館
- 韓仏学院(Institut Français de Corée du Sud)
- 韓国訪問の年委員会
- 韓国観光公社
- 忠南文化技術エージェンシー(CTIA)
- 全州文化財団
- 韓国エンジニア・コンサルティング協会(KENCA)
- サムスン電子
- JYPエンターテイメント
- TSエンターテイメント(TSE)
の名前が挙げられています。政府機関から民間企業まで様々です。(*日本語の正式名称のないものについては括弧内に正式名称または正式略号を示しています。)「BoA」、「東方神起」、「少女時代」、「SHINee」らが所属する韓国芸能事務所大手のS.M.エンタテインメントは協賛に名前が入っていません。
開催は木曜日、金曜日、土曜日の三日間で、Japan Expoと比べ一日少ない構成です。また日曜日の開催がないことからBtoBの色が強いことがうかがい知れます。
Japan Expoはマンガ・アニメファンのフランス人の手で起こり、現在でも運営としてかかわっている日本人はほとんどいません。2008年よりJapan Expoにも、日本の外務省、経済産業省、観光庁の3省庁が「CoFesta」の一環として参加していますが、これはあくまでも展示者としての参加であり、イベントの構成やスケジュールにはかかわっていません。
これに対して、KBEEは主催・協賛を見ても分かる通り、韓国政府主導のイベントであり、自国のブランドをエンターテイメントの力で高めようというもののようです。ですので十数ユーロの入場料をとるJapan Expoに対してKBEEは基本無料のイベントでした。
新凱旋門 "Grande Arche" (La Défance) |
会場は、パリ中心部の1区 ラ・デファンス(La Défance)。この周辺は近代的な建築が多く、新興企業が密集している地域です。あまり知られていませんが、ユニクロのフランス1号店もこの地区です。新凱旋門の異名を持つ「Grande Arche(グランダルシュ)」(写真 筆者撮影)の展示ホールが会場で、面積9'500m^2(ただし、ホール全体をつかっているかどうかは不明)。Japan Expoの会場である「Paris Nord Villepinte」は94'000m^2(メイン会場のみ、コンサートホールなどを含まない、同時開催のコミコン含む)ですから、KBEEはJapan Expoにくらべ10分の一程度の規模ということになります。
KBEEは来場者数の発表がないため、展示会場の広さで比較を行なっています。(来場者数の情報や、展示風景の写真をお持ちの方がいらっしゃいましたらご一報いただけると幸いです。)
(参考までに、
東京ビッグサイト 西展示棟1階 19'760m^2、
東京ビッグサイト 東展示棟6ホール合計51'380m^2
幕張メッセ 8ホール合計 72'000m^2です。
KBEE会場の9'500m^2というのは東京ビッグサイト東展示棟の1ホール(8'670m^2)程度ということになります。)
ただし、パリ中心部から電車で30分程度の郊外で開かれているJapan Expoと比べるとメトロZone1内、しかも経済の中心地で行われるKBEEはアクセスが非常にいいと言えるでしょう。
展示スペースは、物販中心に雑多に並んでいるJapan Expoと比べるとかなり整理されている印象を受けます。
ブースは以下の8分野にわかれていて、来場者は目的のブースに行くのが容易です。
- IT
- 韓国食材・料理
- 韓国俳優・女優
- メディア・映画
- アニメ・キャラクター
- ファッション・アクセサリー
- 美容・化粧品
- その他
また展示スペースの他に、「1:1 Biz-Matching」というプログラムが設定されており、Japan Expoではほとんど見られないBtoBの側面が見られます。
まだまだ市場規模が少ないためほとんど数字には表れませんが、フランスをはじめとしたヨーロッパにもJポップファンが存在します。そのほとんどはマンガやアニメをきっかけに日本に興味を持った人たちです。彼らに人気が出ているのがヴィジュアル系バンドやアイドルです。「X JAPAN」や「the GazettE」らは欧州でのコンサートを複数回開催しています。
アイドルの中では「モーニング娘。」の人気があり、そこから派生してその他のアイドルグループの楽曲もヨーロッパでも多く聴かれるようになりました。
そんな中ヨーロッパのアイドルファンの間でも、Kポップが台頭し始めています。「モーニング娘。」を聴いていたファン層は今「AKB48」を聴くことなく「東方神起」や「少女時代」を聴いているのです。ヨーロッパの人たちにとって日本も韓国も同じ国で、「アジア的なもの」、「東洋的なもの」を求める人たちは「JAPAN」にこだわることなく韓国のコンテンツに親しんでいます。
日本人がほとんど売り込むことなく、ファンが自発的に聴いていたJポップですが、その市場が韓国政府のバックアップや韓国企業の綿密なマーケティングや広告戦略によって奪われつつあります。
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KBEE 公式サイト(英語/仏語/韓国語) |
Secret 日本公式サイト(日本語)
Japan Expo(英語/仏語) http://www.japan-expo.com/
パリ・イベント会場管理会社 Viparis(仏語) http://www.viparis.com/
東京ビッグサイト http://www.bigsight.jp/organizer/index.html
幕張メッセ http://www.m-messe.co.jp/organizers/index.html
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